「……ん、」



ぴくっと、自分の指先が揺れた。そして、瞼を持ち上げれば、いつもと違う天井。でも、どこか見覚えのあるそれは。



「起きたか?」



「和泉……」



寝室の扉がカチャリと開いて、和泉が入ってくる。そのまま近づいてきた彼は、私の額に手を当てて。



「しんどくないか?」



「うん、大丈夫……よ?」




寝起きの頭だと、彼の行動を理解できなくて困る。

そんな私に気づいてなのかどうなのか、和泉は「すぐに風呂入らせたのがよかったんだな」と言葉を発して。



──ああそうか、昨日、びしょ濡れで彼の家に押しかけたんだっけ。確かによくあれで風邪ひかなかったな、私。



いまのは、風邪引いてないかの確認だったのか。



……って、あれ?



「ごめっ、あの……私、

昨日泣いてそのまま眠った……?」



「あー、そうだったな。

誰が寝室まで運んだと思ってんだ」



ごめんなさい、と謝ろうとするけれど。怒っているというよりも、拗ねているような彼がすこし可愛くて。