「レウちゃん。おはよー」

 「おー、ロア!おはよー」


 六月二十日の朝、始業30分前。

 長い髪をなびかせながらロアが私の名前を呼んだ。
 
 ロアの席は一番窓際の、一番後ろ。私の隣の席。

 ふわりと優雅に席につくだけでも、ロアは本当に天使みたいに可愛い。


 「ねぇ、ちょっと聞いてくんない?」


 私は自分の席からロアに話しかける。


 「なぁに?」


 鞄の中身を机に入れ替えながら、声だけ返事をするロア。


 「三組の田中って女子、どう思う?」

 「どうって……あんまりいい印象は無いな~、家がお金持ちだからってなんか威張ってる感じだし。」

 「だよね。この前、私と廊下でちょっとぶつかっただけなのに舌打ちしたんだよ。あんな性格でよく友達がいるもんだ!」

 「うん、私も同感だわ。正直あの子キライ」

 「だよね、私もそう」


 本当に私とロアは気が合う。見た目も性格も正反対なのに。幼馴染ってわけでもなければ親戚というわけでもない。それなのに嫌だと思うことや好きなものが何故かぴったり一緒。

 謎だ。