ひたすら歩いて駅に到着する頃には、もう日が落ちていた。

「とりあえず一番早く来る電車に乗りましょう。行き先はどこでもいいわ」

そう言って黛さんは駅の時刻表を確認に行く。

…焦りの色が見える。

あの女…1号を恐れているんだろう。

…俺は黛さんの後を黙ってついて行った。

こめかみの辺りに手を当てる。

なんだろう…少し頭痛がする。

あまりに常識外れな出来事の連続で、頭が情報を処理しきれないのかもな。

黛さんが時刻表を確認して切符を買う間、俺はベンチに座って休んでいた。

…しばらくして黛さんが俺の所に戻ってくる。

「一番早い電車でも一時間後ね。今のうちに食事でもしておきましょ。小山田君もお腹空いたでしょ?」

俺を安心させるように黛さんは微笑んだ。