平助が隊士の募集の為に江戸へと東帰してすぐ、近藤さんと新八さん、尾形さんに武田さんの四人がそのあとを追って同じく京を離れた。


ここまで大規模に隊士を募るのは初めてだ。平助も何やら当てがあるらしいし、局長である近藤さん自らが足を運んでの募集、そこそこ使える人が集まってくれればいいなと密かに期待だ。


何やら物言いたげに出ていった平助のことは気になるけれど、今は忘れておくことにした。


帰ったらの言葉通り、またそのうち教えてくれるだろうから。


近藤さんがいない分、副長である土方さんは一段と忙しそうにしている。


そのお陰で程よくあいた距離感に、私もやっと余計なことを考えなくて済むようになってきた。


土方さんの代わりに、と言ってはなんだけど、幹部が数人抜けた途端に弛んだ隊内の空気を稽古で引き締め直して。


人が少ない分、普段よりも休み少なくこき使われたりしているうちにも季節は足早に過ぎていった。


気がつけば色付いた木々が見頃を終えて、溜まった雨水には薄い氷が張っている。


そんな冬の始まりに町が片足を突っ込んだとある日。


新たな入隊希望者をつれた近藤さん達が、漸く屯所へと戻ってきた。










「──平助はいつ戻って来るんでしょうね」


夜。
独り言に近い呟きを、隣で布団を敷いている一くんにぶつけてみた。


何故か平助一人戻らなかったからだ。