七海子の家――『木崎家』は、分家だった。
 

そして、七海子はとある秘密と、大きな使命を持っていた。
 

本家『木崎家』は、その昔、『鬼裂』という字をあてた。
 

『鬼裂』き――つまり、『鬼退治』を生業とする家系だった。
 

『鬼』とは言っても、昔話に出てくるような赤鬼や青鬼といったものではない。

それに近い手合いもいるが、ほとんどは違う。
 


現代の『鬼』は体を持たない。


その代わり、人間に寄生して、罪を犯させるのだ。
 


多分、それを知らない人は多い。

聞いたとしても、「ありえない」と笑うだろう。


だが、事実はこうなのだ。