花代さんが言い放ったのは、学校のテストが終わり、


担任から成績表をうやうやしく受け取って帰宅したまさにその日の事だった。
 

いつものように、先に帰宅した七海子が夕食の準備をしていると、花代さんが来た。


「ねえ、七海子。私、またちょっと出かけるわね」
 

花代さんの出かける宣言は、いつも唐突だ。


いつも花代さんは、七海子がなんの覚悟も出来ないうちに、問答無用で家を出て行ってしまう。
 

今までは我慢出来た。


しかし、今回は事情が違う。


「どうして? また仕事で海外?」


「ううん、ちょっと本家に言ってくるわ。


呼び出し受けたわけじゃないけど、色々言いたい事があってね……」
 

七海子はほっとした。


それなら、すぐに済む用事だろう。
 

だが、


「明日にでも行こうかなって思ってる」