食堂に入ると、そこにはすでにカカオがいて、席についていた。


 あたしが来たことに気がついたのか、クコに合図を送る。


 あたしはカカオの隣の席に連れていかれた。


カカオはいわゆるお誕生日席で、あたしはその直角の左隣。


 ……どーしよう。


 あたし、テーブルマナー全然知らないんだけど!


 こんな豪華なところで食事したこともないし!


えーと、フォークは左?


使う食器は内側からだっけ?外側だったっけ?


アタフタと変な動きをしていると。



「まお」



 横から、声を掛けられた。


 そちらを見ると、カカオがこちらを見ている。



「ここにいるのは俺だけだ。 別に気にしなくいい」



本当に気にしていなさそうにあっけらかんと言う彼に感動しつつも、腕を動かすことができない。


 それでも、メイドさんとかいるよ~。


壁側にズラリと並んでるよ〜。


目線が意外と鋭いよ〜。



「そんなに気にするなら、クコにでも教えてもらえ。 それより、早く食べろ。 これから、いろいろと出かけなくてはいけない」

「……はい」



 なかなか動かないあたしに痺れを切らしたのであろう。


威圧感が一瞬にして増し、背筋がぶるりと震えたあたしは素直に頷いて、運ばれてきた朝食だけに意識を向けた。