それは、刻一刻と迫っていた──。

 まるで、もう待てないとでもいうように。


「────」

 
 暗く狭苦しい窓もないもない部屋に響く、数人の声はまるでお経を詠んでいるようで、この部屋の雰囲気をさらに暗くしていた。


その部屋の中央には、長身の者から小さき者まで様々な出で立ちの人影が怪しくゆらりと揺れる。


 彼らは黒くて踝(くるぶし)まで隠れるマントを着込んで、フードを深くかぶっているため、顔が隠れている。


この部屋の明かりは、壁に備え付けられた燭台の数本の蝋燭の炎と、彼らの中心にある『物』のみ。


 怪しい光を放つ、ペンタグラムの魔方陣。


 彼らが呪文を唱えるたび、魔方陣はさらに怪しく光を放ち、彼らの影を壁に写す。


するとどこから現れたのか、キラキラと発光する、色とりどりの大きさも様々な光の粒子が彼らを囲むようにして渦巻いていく。


 しばらくすると、呪文を唱えていた声が止まり、魔方陣がより一層輝いた。


彼らの顔に薄い笑みが浮かんだ。



「さぁ、おいでください……! 我らを救う、『魔女様』よ……!」



 隠した彼らの顔を、魔方陣の光が照らし、蝋燭が揺らいだかと思うと一瞬にして掻き消えた。