「まぁーさっ!」


「わぁっ‼︎もうやめてよ!」

「だって真愛沙全然相手してくれないんだもん。」

「ごめんごめん笑考えごとしてた笑めぐちゃんだってそんなことあるじゃん!だから多目にみてくださぁーい‼︎笑」




私の大事な友達の一人である町田萌のいつも通りのテンションにあきれながらも後ろからついていく。こんな毎日が私は大好きだ。


私は岸上真愛沙。ある田舎町の高校1年生。
友達と喋ったり、バカなことをしたりするのが大好きな普通の女子高生だ。
おしゃれだって好きだし、カラオケに行くことも、ショッピングだって好きなほんとに普通の高校生。でも私には一つだけ普通じゃないことがある。



それは、恋愛が絶対にうまくいかないことだ。
今まで好きになった人と上手に結ばれたことなんて一度もない。


好きな人には彼女がいたり、好きな人がいたりして絶対にうまくいかないのだ。
だから私は恋愛に関して急がないと決めた。


きっといつかは、心から信頼できてなんでも話せるような人が見つかるだろうし、まだ若いしあせらなくていいかなって思って。

とは言うものの、私がこう思うようになったのには、一昨年の秋に起こったある出来事がからんでいる。


「お前ってさ、真愛沙とかいうやつだよね?」

この一言から、私の新しい恋が始まった。
その時話しかけてきたのは、校内でもかっこいいって有名な野球部のキャプテンの先輩だった。名前は拓篤先輩〔たくませんぱい〕。

私と拓篤先輩は、LINEで話したことが少しある程度の付き合いだった。