ケータイ小説 野いちご

HERO

秋。



短い夏休みも終わり、季節は秋になった。

暦は九月の中旬、今日は土曜日で学校は休みでバイト中なんだ。

赤ずきんちゃんのコスチュームを着て駅前で行き交う人々にビラを配ってる。

可愛いコスチューム着たりするのがちょっと楽しみだったりするんだ。

あれからも私は毎日要と仲良く過ごしている…勿論"親友"としてだけど…たまに辛くなる事もあるけど、私は要の傍にどうしても居たいんだ。

圭太は夏休みが終わってから、自棄に私に話し掛けて来る様になった。

"休みの日デートしよ?"
"俺の家来ない?"
"俺にも弁当作って!"

勿論全部断ったけど…圭太の発言と行動が謎なんだよなぁ。

私に抱き着いたりしてくるし、気持ち悪いし…多分要と私を引き離そうとしてるんだ。

圭太に要の隣を譲って堪るかってんだ!

要は圭太がいると機嫌悪くなるから…要と圭太に仲直りは不可能なのかも知れないなぁ。

でも同じ学校だし仲直りして欲しいなぁ。

「俺こっちがいい!」

二人が仲直り出来る方法を考えながらビラを配っていると、差し出したビラでは無く、私の手首を掴まれた。

その人物を見ると、いつも通り暗めのオレンジブラウンの髪をツンツンに立たせ、パーカーにジーンズを着た圭太が立っていた。

「けっけけけ圭太!?」

やばい見られた!と、私は焦るけど圭太はニコッと笑っている。

「由絵ちゃんめっちゃ可愛いじゃーん!てかバイトしてたんだ!?何で俺に教えてくれないのぉ!?知ってたら毎日でも見に来るぜ?」

元気で明るい声が相変わらず煩い…つか知られたら不味いから教えねぇんだよ!

「だっ誰にも教えてねぇよ…つか見にくんな!後…要には絶対秘密だからなっ!!」

「何で要には秘密?」

何でって要の弁当の為のバイトだからだよっ!!

要に知られたら絶対辞めさせられるじゃん…もう弁当作るなって言われちゃうじゃん!

私が事情を圭太に話すと、圭太は若干不機嫌になった。

「…何でそこまですんの?要が好き…とか?」

図星を喰らった私は頬を赤く染めたけど、圭太に知られてもしもの事があったら困るから私は誤魔化し話を逸らす事にした。

「べっ別にそんなんじゃねぇよ…つかバイト中だから!あっち行けっ!しっしっ」

「あぁんもう由絵ちゃん冷たいっ!ちゃーんと秘密にしてあげるから俺にも優しくして!じゃあ俺行くからバイト頑張ってな!!」

私が手で払い除けると、圭太は笑いながら私に手を振って人混みに消えた。

バレなくて良かったと心底安心した私は再びビラを配り始めた。




< 99/ 208 >