ケータイ小説 野いちご

HERO

夏。
プール後半。



瀬川 要 side

由絵が着替え終わるのを待っていた俺達は更衣室の中で由絵達の会話を聞いてしまった後、突然圭太が無言で俺をチラチラ見ながら更衣室へとゆっくり足を運び、不審に思い俺は圭太を後ろから押さえ付けた。

圭太は明らかに覗こうとしていた。

唯でさえ圭太が由絵の傍に居る事に苛立っている俺は更なる苛立ちを覚えた。

由絵が更衣室から出て来た後、俺は由絵の水着姿を見て一瞬頭が真っ白になってしまった。

燃える太陽の様に真っ赤な水着を着用している由絵…最早反則だ。

だが直ぐに圭太の卑猥な発言で現実へと呼び戻される。

圭太の眼を潰してしまおうかと思った。

栗山や他の男が由絵を見るのさえ俺は嫌なんだ。

これは独占欲だろうか?

プールサイドで栗山と圭太が由絵を褒めているのが気に食わなかった。

それは俺の役目だと勝手に思っていたからだ。

二人きりになった所で褒めてやろうと思っていたんだが、圭太が突っ掛かって来てしまった。

それに腹を立てた俺は格好つけてあんな発言をしてしまったのだが…一つ疑問が浮かんだ。

何故圭太が突っ掛かってくる必要があったのか…最近瑞穂に振られたせいで、自棄になっているのか?

因みに圭太が瑞穂と別れた事はジムで栗山と共に聞いた。

それとも最近由絵に良く話し掛ける圭太は気付かぬ内に由絵を………?

もしそうなれば俺は圭太に由絵を奪われてしまうのだろうか…

由絵だけは…俺から奪わないでくれ。

俺は授業中泳ぎながらそう願っていた。




< 76/ 208 >