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HERO

春。
誕生日。



瀬川 要 side

俺の"ファン"という下らない種族が現れた日の夕方、俺がボクシングジムの更衣室で着替えをしていると、更衣室に入って来た栗山が早々に教えてくれたんだが…

日曜日は由絵の誕生日だそうだ。

俺にどうしろって話しなんだが…。

栗山に"プレゼントしたら由絵ちゃん喜ぶと思うよ?"と言われたが、俺は生まれてから一度も女にプレゼントを贈った事は無い。

況してや付き合ってもいない女にプレゼントをするのは可笑しいだろう?

プレゼントをしたくない訳では無い。

寧ろ由絵が喜ぶなら何だってしてやりたい。

由絵の誕生日の前日、俺は由絵がヒーローになった日の事を思い出した。

カラオケ店から出た後、由絵と街中を歩き帰っていたんだが…由絵がとある店の前で立ち止まり、ショーウィンドウの中を覗き込んで目を光輝かせて居たんだ。

硝子の向こうを確認すると、それは由絵より大きく、薄いピンク色のフワフワした由絵に良く似合うであろう可愛らしい熊の縫いぐるみだった。

由絵の為に作られた縫いぐるみだと思うくらいな。

間違いなく由絵は熊の縫いぐるみを欲しがっていた。


そして俺は由絵に熊とケーキをプレゼントする事を決意する。




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