陽は完全におち、月が夜空を不気味に照らしてる。 黒い雲が何度も月を隠しては、ゆっくり流れていく。 阿部雄三(あべゆうぞう)は、商店街の近くの駐車場に乱暴に車を停めると、ズカズカと靴音を鳴らしながら商店街を向かって歩いていた。 時刻は夜の22時だ。 商店街の店はシャッターが閉まり、どの店も開いていない。 こんなのはいたって普通だ。 だが、俺はひとつだけ夜でも開いている店を知ってる。 阿部はひとつの店の前で足をとめた。