翌日


苳はどこに行くのかと聞く季の声を無視して


昨日の場所へ急いだ。


時間は10時10分。


約束の時間を10分過ぎていた。


早く翠に会いたくてたまらない。


苳は昨日帰ってから


1日翠のことを考えていた。


ハンカチを貸してくれたこと。


ハンカチを返すために花屋へ行くと


また翠に会えたこと。


とても眺めのいい場所へ連れて行ってくれたこと。


そこで翠とお揃いの手作りのネックレスをもらったこと。


そして、


翠に抱きしめられたこと。


翠と出会ってからの日々は


どこをとっても奇跡的で、


たった4日でこんなにも好きになるとは思わなかった。


翠にもう一度好きだと伝えたい。


翠に苳が好きだと言って欲しい。


そんなことを考えていると眠れなくなっていたのだ。


苳は時計を気にしながら、


昨日の場所へと急いだ。