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翌日、苳が昨日のフェンスをくぐると、


そこにはもう街を見下ろす


翠が立っていた。


「ごめん…待った?」


時間はまだ朝の10時だ。


昨日、時間の約束はしていなかったため


苳はこのくらいが妥当だろうと思い


10時頃に到着するように家を出た。


「ううん、大丈夫。それより、目瞑って?」


苳が翠の横に立つと、


翠は苳の方を向いてそう言った。


苳は言われるがままに目を瞑ると、


首に翠の手が回り、


冷たい何かが首にかかった。


「目開けて」


うっすらと目を開けて胸元の髪を振り払うと


小さく、リンと鈴の音が鳴った。


「あ、これ…」

「見える?『fuki』って書いてるんだよ。フキにあげる。」


苳が胸元に手をやると、


翠の首にかかっているものと


同じくらいの大きさの鈴があった。