苳が家に着くと、


門の前に1匹の猫が寝そべっていた。


「ただいま。夕日が暖かくて気持ちいいね。」


苳はしゃがみこんで猫に話しかけた。


猫は苳の方を見て


にゃーとひと鳴きすると、


ゆっくりと立ち上がり、伸びをして


軽やかにどこかへ歩いて行った。


苳も立ち上がり、


猫の背中を見届けると、


家の中に入った。


「ただいまー」

「あ、おかえり。」


家に入ると同時に


カレーのいい匂いが鼻を刺激した。


台所から季の声が聞こえると、


苳は匂いに誘われるように


台所へ向かった。