午前11時前。


 結局、3時間しか寝られなかった。自分の神経が、感情がまだ昂(たか)ぶりを静めてはいない。元々寝溜め出来る体質だと思っているので、3時間睡眠でも問題はない。


 オレは服を簡素なロングTシャツとジーンズに着替えてリビングへ向かった。愛梨と雷也は凄く眠そうだ。


「二人とも大丈夫か?見た感じは大丈夫そうには見えないけど……寝ていいぞ」


 そのままキッチンカウンターに向かい、中から新品のオレンジジュースを取り出す。


 気づいたことだが、この部屋のジュースは毎回新品に入れ替わっている。もったいないとは思うが、サービスの一環なのだろう。


「龍ちゃんこそ、大丈夫なの?まだ3時間しか経ってないよ……あたしはまだ平気だから、寝てていいよ?」


 目の下にクマを作った愛梨が言ってもなぁ。説得力も何もない。


──『ポンッ』


 愛梨の横に座り肩を軽く叩く。雷也は目を閉じて、少し寝ているようだ。