雷也の家に着いたのは、8時55分。


 すでに家の門の前に二人が立っていた。オレは家に戻り、着替えてから来た。


「龍ちゃん、遅いよ。何やってたの? もうタクシー待たせてあるから、ほら」


 雷也が指を差した先にはタクシーが止まっていた。


 随分豪華だな。そういえばオレ達は少しだけお金持ちだったんだ。


「……早く行こう」


 酷く元気がない。愛梨は……泣いていたのか目を真っ赤に腫らしていた。


「あ、愛梨……昨日は眠れなかったのか?」



「龍ちゃんには関係ないでしょっ!!!」



 涙を浮かべながら、愛梨は言い放った。


 朝から二人も女の子を泣かしている状況にオレも泣きたくなる。


「……行くよ、二人とも」


 雷也が愛梨の腕をぎこちなく掴み、タクシーへと向かう。