……♪……♪

「……ん」

 かすかに聞こえる携帯の音楽で目が覚めた。

 寝ちゃってたんだ……

 不自然な体勢で眠っていたからか、体のあちこちが少し軋んだ。

 腕だけを鞄の中に伸ばし、まだ鳴り続けている携帯を引っ張り出す。

 虚ろな瞳でディスプレイに視線を移した。

 "高田美樹"。

 美樹か……

 私は電話に出る事なく、ぼんやりと眺めていた。

 ほどなくして美樹は諦めたのか、携帯のディスプレイは待ち受け画面に戻る。