「う……ん……」

 私はうっすらと瞳を開けた。

 ここは美樹の部屋だ。

 薄く開いた瞼から、視線だけを左右に振った。

 照明を少し落としたのか、部屋は白熱灯の明かりで淡いオレンジ色に染まっていた。

「あ、目が覚めた?」

 上半身を起こすと、美樹はキッチンからグラスを片手にこちらへとやってきた。

 意識を失う前の記憶が曖昧だ。

 頭がぼんやりする。

 何度か瞬きを繰り返して、ようやく私は隣に腰を下ろした美樹へと視線を送った。

「はい、これ。ちょっと頭が冴えるよ」

 美樹が私に水の入ったグラスを握らせてくれる。

 私は一口だけ口をつけ、グラスをテーブルの上に置いた。