皆が解散した後、私は悠希に案内されて2階の自室に来ていた。


「ここがすみれの部屋!好きに使っていいからね。トイレと風呂とキッチンは共同の所使って。まぁ、飯は皆で食べることになってるから、呼んだら来てくれれば」


悠希が後ろから声をかける。

私は部屋を見渡す。
思っていたより広いかも。
私の部屋は角部屋で、悠希の部屋の隣だった。


「ご飯、誰が作るの?」


私は悠希からキャリーバッグを受け取ると、早速床に広げた。


「俺たち皆料理できないから、唯一できる凛空がしてくれてる。あ、でもその代わり、俺たちは掃除とか洗濯とか分担してるよ」


悠希が部屋に入ってきて、後ろ手にドアを閉めた。


「そうなんだ…。私、なんでも手伝うから言ってね」


キャリーバッグの中から、
真新しい制服を取り出す。


見れば見るほど、
なんだか緊張するなぁ…。


「すみれが居てくれると、本当に助かるよ」


突然、悠希が後ろから私を抱きしめた。


「ゆっ…悠希…!?」


びっくりして、私は悠希の方へ顔を向ける。


「いいじゃん、ちょっとだけ」


更に、私を包む手の力が強くなる。


私は、1つため息を着くと、
そのまま悠希の腕に顔をうずめた。


なんだかんだ言っても、
悠希といると一番安心するんだよなぁ…。


ずっとこうだった。

小さい頃から家族ぐるみの付き合いで、友達以上恋人未満の関係を続けてきていた。


「よかった……お前が…すみれが無事で」


悠希のこもった声が耳をくすぐった。


「悠希……」


自然と目から涙が溢れてくる。

ずっと我慢してて、
ずっと隠していた涙。

悠希しか知らない私の秘密。