とある休日。


「あっ!ハスミン!」


撫でていたハスミンが、
私の腕からするりと抜け出し、
階段を上がっていく。

一ノ瀬先輩に看病してもらってからと言うもの、
私は暇があればハスミンとじゃれあっていた。

元々、猫が好きなのもあったけれど、
ハスミンは人懐っこくてすごく可愛い。


私はハスミンを追いかけて2階へ上がった。


「ハスミン…なにしてるの〜?」


ハスミンは、
ある部屋の前で大人しくおすわりをしていた。

その部屋の主は、南條君。


「ハスミ……」


ハスミンに手を伸ばした時、
南條君の部屋から心地よいピアノの音が聞こえてきた。

優しくて美しいメロディー。

素人の私にも、その演奏はすごいものだということが分かる。