第三章 盛夏




第1節 真夏の夜の夢













「………まぶし……」





瞼に明るい陽射しを感じて、あたしは目を開けた。




ゆっくりと上半身を起こして、ぼんやりと周りを見る。






あれ………どうなったんだっけ?




たしか、飛行場で倒れて。



誰かが運んでくれたのかな………。





そう思った瞬間、掌に触れる湿った土の感触に気がついた。




ツルさんの家じゃない。




じゃあ、ここはどこ?





視線を巡らせると、光の洪水に目を射られた。





あまりの眩しさに、反射的に俯く。




しばらくして目が慣れたとき、あたしは自分の姿を見て息を呑んだ。





学校のジャージを着ている。





………え、なんで?



いつの間に?





ぱっと横を見ると、枕にしていたのは、学校のカバン。





おかしい。



ツルさんの家の押入れにしまいこんでいたはずなのに。





よろよろと立ち上がる。




光のほうへ歩いていくと、一気に視界が開けた。






「…………うそ」






掠れた驚きの声が出た。





そこには………モルタル外壁の一軒家や、マンションやアパートがあった。




見慣れた、懐かしい街の風景。





………現代に戻った………?