【七彩Side】
「ただいま」
私がキッチンでカチャカチャと夕飯の準備をしていると、飛鳥の声が耳に届く。
「あれ、もう帰ってきたの?」
まだ夕方なのに…。
日付変わるくらいまで遊んでるくせに。
ここずっとそうだ。
涼子さんが海外に行って早くも5日。
飛鳥は早く帰ってきて、ご飯食べてすぐ部屋にこもっちゃうけど、家にいてくれる。
「母さんいねぇし…、七彩を夜に1人きりなんてそんなことしねぇよ」
やっぱり優しいところあるんだなぁって、この5日間わかった。
「で、今日はなんか買い物とかあるか?」
「ないよ。明日は買ってきてほしいんだけど…」
「おーけー。
メールして。明日学校帰りに買ってくる」
飛鳥はそう言うと、いつも通りスタスタと階段を上って自室へ入っていった。
「今日は飛鳥の好きなハンバーグ…っと」
2人での夕食。
段々慣れてはきたけど、まだ緊張する。
なにを話そうか、おいしいって言ってくれるかな。
そんなこと、ここ数日ずっと考えてしまっている。