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*茜side*





『おとーさぁーん!!すげぇだろー!』



『おっ、綺麗な貝殻見つけたなー』





パタパタ、裸足で砂浜をかけて貝殻を見せびらかすと、大きな手が、俺のまだ黒かった髪をわさわさと撫でた。


その手と優しい笑顔が堪らなく嬉しくて、俺は無邪気に笑う。



『えへへ…し、仕方ねぇからおとーさんにやるよ!』


そう言って貝殻を差し出すと、受け取ったお父さんは、くしゃっと笑った。


そんなお父さんの横で、白いワンピースを風にはためかせているお母さんがプクゥッと頬を膨らます。



『あーっ茜ってば、お父さんばっかりー!お母さん寂しー』


拗ねたように言うお母さんに、俺は慌てて持っていた貝殻を一つあげた。