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「ん……」


目が覚めたのは、翌日の朝だった。


自分以外の温もりを感じてうっすらと目を開けると、視界に映ったのは人らしき姿。


起きたばかりの頭ではそれが誰だか分からなかったけど、意識がハッキリしてくるとそれが誰だか直ぐに分かった。


甘さを含んだ野性的な香り。


これは十夜の香水の香りだ。


隣に十夜が居る所を見ると、どうやら昨日は十夜に抱き締められたまま眠ってしまったらしい。


十夜……。


今もまだ抱き締めてくれている十夜に、言い様のない愛しさが込み上げてくる。


……あたし、やっぱり十夜の事好きになっちゃったんだ。


だって、傍に居てくれる事がこんなにも嬉しいと思っているから。



十夜の背中に腕を回して、そっと抱き締める。


すると、あたしを抱き締めていた十夜の腕に力が籠った気がして。

慌てて頭を上げた。


けど、特に変わった様子もなく。


ホッと小さく息を吐き出してから、もう一度十夜の胸元へと頬を寄せる。



あたしって案外積極的なのかもしれない。


十夜の温もりを感じながらそんな事を思っていたら、


「どうした?」


突然、頭上から声が降ってきた。