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学校行きたくないなぁ……。


パタン、と玄関を閉めて、溜め息を零す。



……はぁ。学校に行くの憂鬱なんだけど。



そんなあたしの気分とは裏腹に、目の前に広がっている空は雲一つない快晴で。

ますます気分が低下していく。


気分が乗らない理由は至極簡単。

昨日の事があるから。








──あれから、あたしは追いかけてくる煌を見事撒いて逃げる事が出来た。


撒く為に遠回りしたせいで貴兄には「遅い!」とこっぴどく怒られたけど、そんなもの鳳皇と関わってる事がバレるよりよっぽどマシな訳で。


その後、家に帰ってからは三人でゲームして、二人は日にちが変わらない内に帰っていった。


帰り際にはご丁寧に「絶対に鳳皇と関わるんじゃねぇぞ」という一言を残して。


そんなに関わるなって言われたら、逆にどんな人達なのか興味が出てきてしまいますよ、お兄様。



……まぁ、もう関わってしまってるからその心配はないけどね。



「凛音ちゃん、おはよう」

「あ、おはようおじさん!」

「いってらっしゃい。気をつけて行くんだよ?」

「はーい!ありがとう!」



玄関ホールを掃除している管理人のおじさんに「いってきます」と手を振って、マンションを出る。


おじさんに会ってちょっと元気になったかも。


と、そう思った時。



……おじさん、早速危ない目に遭いそうです。



目に飛び込んできた黒塗りの車に死期を悟った。