此処、春坂町の町では町内のシンボルといっても可笑しくない大きな学園“春坂学園”があります。

 その学園の1人で生徒会長をやっている女の子、彌生智香(やよい ちか)高校2年生。元気で石段を駆け上がる姿はまるで、鳥のように軽やかだった。

「!……オッハヨー!!友理奈!」

 バシッと山里友理奈(やまざと ゆりな)の背中を力いっぱい叩く。

「いてっ!……って、智香かよ」
「うちじゃなんか不満でも……」

 この2人は幼稚園のころから仲が良い幼なじみだ。突然後ろから「キャー!」っと黄色の悲鳴が聞こえたかと思うと、黒て、立派なリムジンが石段の下で止まっていた。
 ドアが開いて中から出て来たのは、今人気絶頂の双子アイドルだ。

「おぉ……!あの2人は、双子アイドルの真矢ちゃんと宮ちゃんだ!!」

 顔を真っ赤にして、人混みの中へ行く友理奈を遠くで見守っていることにした智香。
 双子アイドルの周りをみれば春坂学園の生徒以外にカメラマンや新聞記者がいた。急いで石段を下りると、人混みの中へ入っていく。

「あの……すみません、この学園は撮影禁止なので……他の場所でやってくれませんか?」