「お母さん……」



 しばらく寝ぼけ眼でぼんやりとしていたけど、ハッとして周囲を見渡す。

 誰もいない、静まり返った教室。



(そっか……まだ朝早いから、みんな来てないんだ)



 ようやく状況を掴むと笑ってしまった。



「お母さんって寝言で起きるの、カッコ悪いなあ」



 思いっきり伸びをして、窓に映った自分に視線をやる。

 ゆるいウェーブがかった金色の髪が、朝日に反射してキラリと光った。

 瞳はブラウン。

 うん、いつもとおんなじ私の顔。



「大丈夫、私は今日も頑張れる。だからお月さま、力を貸してね」



 懐かしい記憶に浸るのはおしまい。

 両頬を平手打ちして、気合いは充分!



「よしっ!」



 そうして私は、すっくと立ち上がったのだ。