全国屈指の高校生剣道大会「青龍旗」を間近に控えているこの時期。

 4限まで無事終えると若葉くんに別れを告げ、即化学室を後にする。


 途中部室に寄り、竹刀片手に体育館横の剣道場へと向かうと、すでに数名の人影が。

 2年の男子部員だ。

 何の変哲もない光景。

 彼らが不自然な円を描いて、一か所にたむろしてなければ、の話だけど。



「ご、ごめんなさい……」



 円の中心には怯えた少女。

 ただごとではない雰囲気だ。


 ざっと見れば相手は4人。

 少ないほうだ。