いつもの情事が終わった後のことだった。

「何?

脅迫がなくなった?」

春馬が驚いたと言うように聞いてきた。

「そうなのよ。

あれ以来、先輩からメールもこなければ誘ってもこないのよ?

何だか変だと思わない?」

そう聞き返してきた京香に、
「だけど、お前はそれが望みだったんだろ?

仕事以外でのそいつに近づかないことが、お前の望みだった。

その望みがかなったと思えばいいじゃないか」

春馬は言い返した。

「だけど、脅迫のネタになった写真はあいつのケータイの中に残っているのよ?」

そう言った京香に、
「だったら、そいつに直接言えばいいだろ?

終わったんだったら写真を消してくださいって」

春馬が呆れたと言うように言った。