「でな。アイツがな……」

「え、ウッソ? マジ!」

「ホンマやって。あとなー……」



予想はしてたけど。

みんなの会話についていけるわけもなく。

わたしは一人で黙々とお弁当を食べながら、よくわからない話を聞いて、適当にお愛想でヘラヘラと笑っていた。


みんなが悪いわけじゃない。

これはわたしの問題なのだ。

ただでさえ人見知りが激しい方なのに、ましてや男の子なんかと、どうやって会話していいかもわかんない。

ユカリちゃんには悪いけど、どうにも居心地が悪い。

そんなことを考えながら、空になったお弁当箱を袋に入れようとしていたその時。



「おー! こっち、こっち!」


斜め前に座っていた男の子が突然、手を上げて誰かに声をかける。

食堂の入り口付近にいたその人は声に気付き、わたし達のいるテーブルに向かって歩いてきた。

片方の手には焼きそばパン。

そしてパックに入った牛乳をストローで飲みながら、ゆっくりと近づいてくる。