【愛維サイド】
「愛維見て!バレンタイン特集だって!」
2月13日、親友のミオちゃんがティーンズ向けの雑誌を開いて私に見せる。
「バレンタイン特集……?」
「そうそう!簡単なお菓子の作り方たくさん載ってるの!愛維は誰かにチョコ、あげないの?」
「えっ、わ、私は別に……」
私、崎本愛維(さきもとうい)は口をもごもごさせる。
そういえば明日バレンタインかぁ……すっかり忘れてた。
というか、好きな人なんていないしお菓子作る予定もなかったんだけどね。
「愛維ってば高校生にもなって恋したことないとか、どんだけピュアなのよ!」
ミオちゃんが私の背中をポンとたたく。
「だ、だって~……」
恋ってイマイチわかんないし、男の子に対してドキッとかそういうの、全然感じたことないし。
まず男の子と関わること自体少ないし。