バレンタインデーの放課後。
心臓が跳ね上がるようにドキドキする。
早く人が来ない内にチョコを置かないと!
私はちらっと教室の扉の窓から中を覗いた。
誰もいない教室。窓際のひとつの机の上にはノートやら筆記用具やら勉強の痕跡がある。
受験生である私の好きな人の机。
多分あの人は自販機へジュースを買いに行ったか、トイレだろう。
あの人に気づかれない様にチョコを机の上に置く。
それだけなのに、ものっすごく緊張する。
だって、このチョコ・・・
私は手元にある小袋を見た。
中には手のひらサイズのハート型のチョコケーキが入っている。
今から渡そうとしているこのチョコは、本命チョコだもん。