どんどん焼け事件から約三ヶ月



真夏も、現代でいうお月見も過ぎて、少し肌寒くなった十月の終わり頃






「えっ、じゃあ新入隊士たちが来るんですか?」



土方が沖田という護衛も付けずに近藤を江戸にやったことに納得がいかない沖田は土方の部屋に来ていた



「そうだ
近藤さんが、新入隊士の腕を見に行くだけなのに一番隊なんて付けたら格好わるいだろってな

ったく、近藤さんらしいけどよ」



恐らく、留守にする屯所の人手を薄くしたくないというのもあるだろうが……



そんな言い方で意地を張るのはいかにも新撰組の局長らしかった



「なんだ、そういうことだったんですか
言ってくれればよかったのに……

というか、蓮さんってもしかしてこのこと…」



「知らないだろ
言ってねぇからな」



──いや、それはまずいでしょう



「いくら土方さんが蓮さんに余計な負担をかけたくないからって、大丈夫なんですか?」



華蓮は未来で起こることを知っている



もしこの隊士募集に異論があるならば、とっくに言ってきていると思うが



──でも、そこまで干渉されるのもね



華蓮がいるからこそ、今の新撰組があるわけだが、それでも新撰組の道を決めるのは近藤や土方たちだ



「ま、これは隊のことってことですかね」



「ああ
それにしても、お前のその余計な一言はどうにかならねぇのか?」



土方はばつが悪そうに、頭に手を当てる



「別に本当のことしか言ってないですよ?
素直じゃないなあ」



「っっ!!
そういうのが余計な一言だっつってんだよ!!」





土方は浴びせるだけ罵声を浴びせると、沖田を部屋から追い出した



──本当に蓮さんに言わなくてよかったんだろうか



昔から沖田の勘はよく当たる



あんまり考えたくはないが、何か嫌な予感がしていた