__サッ



__スッ







山南の隠れ家に向かう途中であるが、後をつけられたり、バレてしまっては困るので足音を立てないようにしていた



息づかいも同じく、激しいと気づかれてしまう



この走り方には、相当な体力が必要だった







「副長、奏上はかなり腕をあげるでしょう

俺からみても筋がある」



一度、山の中で休憩を取ることにし、一息ついた山崎が土方に言った



「蓮がいる前で褒めるんじゃねえ
すぐに調子乗るじゃねえか」


土方は持ってきていた水をグイッと飲んだ



「それはっ……失礼しました
今後は気を付けます」



「そうしてくれ」




__いやいや、ちょっと待ってよ



土方は恐らく半分以上本気でそう思ってるのだろうが、山崎は笑いを堪えている



「ちょっと……土方さん……………」



華蓮は苦笑いをするしかなかった







「ここです」



山を越え、目立たない場所にある、一見小屋にも見える建物


__ここが、山南さんの隠れ家?



場所は知っていたが___言ってしまえばこんなに人が住めるとは思えないような場所だとは思わなかった



__明里さんも一緒なんだよね?




明里というのは、山南が京にいたころ、親しくしていた芸子だ



史実では山南と死に別れてしまうが、この世界では隠れ家ではあるものの、一緒に暮らしている


その提案をしたのはもちろん華蓮だ