「ともだちなんて、いらないもん!」



仲村あやめ(8)は、ブランコを揺らしながら、

小さな石ころを蹴った。


夏も終わりに近づいた夕暮れ時、

公園にいるのは、いつのまにか、あやめ一人になっていた。


さっきまで、

ランドセルを背負った学校帰りの子供達が、

走り回ってさわいでいたのに。



転校してきて、一週間…



そろそろ、お母さんに、ともだちはできた?と、

聞かれそうで、あやめは、家に帰りづらかった。



「だって…

この学校ではコイチゴちゃん集めるのは、

もうダサイって言われたんだもの…」



ポケットから、

リングでつなげた五色のコイチゴちゃんを取り出した。

ブルー、グリーン、イエロー、パープル、ピンクの、

3cmほどの、五つの小さなマスコット。

Fァンタの野いちごソーダ味のぷるぷるシェイカーについているオマケで、

前の学校では、全7色集めるのが、クラスではやっていた。


あやめは、けっこう早く、5つ集めたほうで、

すごいねと一目おかれていた。



「いいもん。

ゴールドとシルバーのコイチゴちゃんも、

集めるんだから…」



そうつぶやいて、ポケットにしまおうとしたら、

女の子の声がした。


「わぁ!コイチゴちゃん五色も持ってるの?!」