梔 ダンテはとても変な人だった。
とても、とても変な人。

例えば、一人暮らしの女子高生の家に勝手に上がり込んで、勝手に自分の家にしてしまったり、我が物顔で人の私物を使ったり、なのにどこか潔癖症だったり。

つまるところ梔 ダンテは自分勝手で自己中心的で我儘で一般常識なしの、まるで駄目なハタチの大人なのであった。

『おい、まて。俺はまだ19だと言っただろうが』

そして人の思考を勝手に覗く妖怪さとりなのである。

『お前、失礼過ぎるだろ。出逢ってまだ3日だぞ』

「出"逢って"ってなんです?運命みたく言わないで下さい。私、運命論者がこの世で一番だいっっ嫌いなんです」

『・・・なんかすみません』

まったく。なぜ、こんなことになったのか?
神様は意地悪です。
寂しい寂しい女子高生にプリチーな天使じゃなくてこんな駄目な男をお与えになるなんて。

あぁ、まったく。私は運命を恨みます。

『まてまて。なにさっそく運命語らってんだよ』

「なに、思考除いてんだよ。妖怪さとり」

『さとりじゃねーし。俺、人間だし』

「普通の人間はそうそう赤の他人の思考まるまんま読まないよ!」

『え?赤の他人じゃないじゃん、もう。同棲してるじゃん』

「・・・けーさつ呼んでいいデスカ?」

『・・・ごめんなさい』