火照る体が熱い。
傷跡が痛い。

1868年、1月13日の明け方。
山崎は、富士山丸という船の一室で、布団に横たわっていた。

薩長率いる新政府軍と、幕府が引きいる旧幕府軍の間で戦が勃発した。鳥羽伏見の戦いである。

新政府軍は、予想以上だった。
射程距離の長い銃を前にして、あんなにも稽古してきたはずの刀や槍では手も足も出なかった。


もう終わりは近いのだとなんとなくわかる。


幕府も、自分も。


戦場で敵に突っ込んでいったとき、その実力の差に捨て身になるしかなかった。


花織を慕っていた十一番組の隊員も多くが亡くなった。
平助も、もうここにはいない。


何もかも変わってしまった。