パーティの閉会時間を無視してマンションに直行する。

 車の中で俺もカロッサも無言だった。
 運転手の崎本が俺たちの雰囲気にあてられてげんなりしていたが、知ったことではない。



 部屋に着き、カロッサが掛けていたソファに俺も掛ける。

 彼女も俺も正装のままだ。



 「何が原因で気分を害した?」

 「……いろいろ」

 彼女はふっ…と自嘲気味に笑って呟く。




 「……お前のドレス姿、綺麗だな。髪もアップにして美しさ二割増しだ。お前は肌が白いし髪の毛も白金色だから、黒色はとても映える。」

 「…………」

 「お前これ以上綺麗になって俺以外の男に目ぇつけられるなよな」

 場を和ませようとおどけた感じで言う。
 しかし、効果なし。

 ……無念。

 「…あなたも似合ってるわ、黒いタキシード姿」

 ………………。

 …………。

 ……。

 「……あ、ああ」

 顔が赤くなるのがわかる。

 俺が褒めても顔色を変えない彼女と、褒められた途端に照れる俺。

 ……惚れた弱みってやつか?