「卒業式の日…」


「うん…あの日、卒業式のあとに悠希を探してたの。そしたら、屋上御池くんが…悠希と話してるの聞いちゃって…。加恵のことが好きだから私に近づいたって」



そこまで説明すると、悠希の表情が固くなる。


そんな彼の些細な変化を私は見逃さなかった。


と、同時に悟ってしまった。


やっぱり、あの話は真実だったのだということに。


ズキンと、胸が締め付けられるように傷んだ。



「…私が悠希の前からいなくなったのは…同じ高校に行かなかったのは…加恵目当てで私のことを利用してるってこと知っちゃったからなの。だから、本当は…ずっと、このまま一生、悠希に会いたくないって…そう思ってた」



「…っ、凛…オレ」



悠希が何か言いかけようとしたが、私は構わず話続ける。


今、黙ってしまったら…きっと、泣いてしまう。


そう思った。


「でもね、今は違うの。また、こんな風に悠希と会えて…あの時のモヤモヤも、話せてスッキリしたんだ。それにね、実は加恵と御池くんにも会ったんだよ?」