“今のままじゃいけないね”……そんな美生の言葉を、何度も何度も反芻した。

その度に辿り着いてしまう言葉の意味を否定したくて、堂々巡りの中で必死に違う言葉を探していたんだ。





「終わったぁぁぁぁぁ!」



校内にチャイムが鳴り響いたのと同時に、狭い教室に桜井の大きな歓喜の声がこだました。



「こら、煩いぞ桜井!」

「あっ、すんません!」



先生から注意を受けているにも関わらず、全く反省の色が見えない桜井の姿に、多方面からくすくすと笑い声が聞こえる。



「最終日に暗記2教科!俺もう死ぬかと思った!」



言いつつ、席を立ってこっちに向かってくる桜井。

前の席の女子は既に仲のいいヤツの元へと行っていて、席は空いている。

案の定そこに腰を下ろした桜井は、後ろを向いて俺の机に突っ伏した。