翌朝、芳ばしい香りに目が覚めた。



「あ。おはよ、千速くん」



リビングの扉を開くなり、美生が笑顔で俺を出迎えた。

そんな彼女が身に纏っているのは、俺のパジャマ。



「……はよ」

「千速くんは今日も学校だよね?」

「……あぁ」



机に朝食を並べる美生の横を通り、コップに水を汲む。

朝起きてご飯が出来ているのは……いつぶりだろう。

こんな風に、朝一番におはようと言ってくれる人がいるのは。



「千速くん?どうかした?」

「……いや。ちょっとぼうっとしてた」



コップを濯いで伏せ、席に着く。

と、美生が困ったように眉を下げた。