マリア姫は、予定通りその日に城を発つことになった。




「ユキさん」

「は、はい」




打ち身に湿布を貼り、見送りだけは行きたいと立っていた私にマリア姫は近づいた。
私の名前、どうして?




「助けてくれて、本当にありがとう」

「い、いえ。突き飛ばしてしまって、申し訳ありません」

「あなたと次にお会いするときには、立場は違っているのかしら」

「え?」

「王妃としてのあなたとお会いできるのを楽しみにしているわね」

「えっ、あっ!」





意味に気づいてかあっと顔が赤くなる。
マリア姫、気づいて!?
ていうか、もしかしてレオが言ったとか!?




「あ、あの・・・。すみません・・・」

「ふふっ。いいものを見せていただいたから、構わないのよ」

「え・・・?」



いいもの?
いいものって、なんだろう・・・。