公務先へは、ノアが馬に乗って先導し、馬車の後ろにフランが馬でついてくる。
そして、レオとグレンそして馬に乗れない私は馬車に乗り込んだ。



「まったく、側近以外の騎士が王子と同じ馬車に乗るなど・・・」



グレンは相変わらずグチグチ言っている。



「しょうがないだろ。馬なんて乗ったことないんだから」

「馬に乗ったことがなくて、どうやって生きてきたのだ」

「えっ」




レオに問われ、口ごもる。
この世界では、移動はもっぱら馬だ。
それは国民に関してもそうらしい。

遠くに出かける時には自分のや、国の馬を借りてそれで移動しているんだそうだ。



だから、男は皆幼いころに乗馬訓練をしているらしい。



そんなことを言ったって、この世界の人間でもなければ男でもない私はそんなことしているわけがなくて。



馬に乗った経験なんて、思い返せば幼いころに牧場で乗ったポニーくらいだ。




「馬に乗らなくたって生きてこれたんだ。しょうがないだろ」




ウソは言ってない。
それにしても・・・。
少し、私に興味を持ってくれたんだろうか。


レオが質問をしてくるなんて。