どうしよう、マジでどうしよう…




「ワンワンッ!!」

――パタパタ…




朝起きたら…、隣で寝ていた筈の恋人の代わりに、仔犬が元気に吠えながら私を起こしてくれたこの状況。

ちょっ、誰か分かりやすいように説明してくれない?

え、なんで?
何、このワンコ。


というかハルトは?

今日は休日だし、この時間はまだ寝てるでしょ?




「ワンワンッ!! ヘッヘッヘッ…」




呆然と仔犬を見つめる私の手をペロペロと舐めては尻尾を振る。

何とも愛らしいその姿に、思わず腕の中に納めてしまうが疑問が晴れた訳ではない。


果たしてこの仔犬はいつの間にベッドに潜り込んだのか。

ハルトが連れてきたのだろうか?

だとしたらお前は捨て犬か?


ずっとペットが欲しいって言ってたもんね。

いやでもうちのアパート、ペット禁止だし。


あー、もう。だからハルトは何処に行っちゃったんだ。




「クーン…」

「あ、お腹空いた?」

「ワンッ!!」

「ハハ、そっかそっか。ちょっと待っててね」

「ワンワン!」

「しー、ばれたらだめだから静かにね」




とりあえず腹が減っては戦は出来ないと言うし、私も何か食べた後に頭をフル回転させることにしよう。

寝起きでお腹が減った今の身体では、考えられるものも考えられない。

仔犬を抱き締めたままベッドから立ち上がる。


パタパタと休めること無く振られる尻尾が、やっぱり愛らしかった。





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