母さんの言葉を聞いた男はあたしを連れて外にでた。

「ねぇ。」

あたしは横にいる男に問いかけた。
もう抵抗しても逃げられないってわかったから。

「何だ?」

男はあたしを見もせずに答えた。

「あなたはこれが仕事なの?」

と聞くと男はあたしを初めて見て、

「あぁ。売られた子を吉原まで連れてって遊郭から金を貰うんだ」

と言った。
あたしは返事をせずに黙っていた。