「…っ」

暗闇にうずくまって只泣き続ける少女が1人。

「おか…さ…っっおと…さ…ん」

ずっとずっと二人の事を呼んでるのに迎に来てくれない。

暗闇には、少女が泣く声と、少女が流している涙の音だけ。

他は静寂。


怖くなるほどの静寂だった。


すると、どこからか声が聞こえる。

「夢……」

「だ、だあれ…?」

少女は膝に埋めていた顔を起き上がらせ声のする方に向けた。


「夢雨…」


これは…



「おか…さん?」

そう、ずっとずっと待ち焦がれていたお母さんの愛しい声。


「夢雨、おいで。」


これもずっとずっと待ち焦がれていたお父さんの声。


すると、辺りは真っ暗な所からいつの間にか光に包まれていた。


少女の目の前には少女が大好きな両親が腕を広げて笑顔に少女が抱きついてくるのを待っていた。


「おか、さん!おと、さん!」

少女は走り出した両親の元へ。
笑顔で、転げそうになってもひたすら両親の元へ走った。


「おかえり!!」
そう言って思いっきり抱きつく。


嬉しい、嬉しいよ。お父さん、お母さん。

両親は少女が笑顔なのをずっとずっと見続けていた。

嬉しそうに抱きついてくる少女を。


でも、そんな穏やかな時間は二度と来ないと少女は後から知ることになった。