6月に静岡に戻る――。


有希に打ち明けられてから、裕之の胸はざわついていた。




哲也と理沙のやりとりから目を逸らす有希を見るたびに、黒い感情が渦巻いた。


それは、間接的に有希の心を乱しておきながら、いつまでたっても直接行動しようとしない、哲也への憤りだった。