「そういう顔、誰にでもするんだね」


大きな窓の外は夜の装いをほどこされ、街の明かりが点々と光っている。

その人はそういうと背中を向けたまま肩を震わせて笑っている。

私は答えられなかった。

天井から差す蛍光灯がまぶしく、私とその人を照らす。

真っ白なクイーンサイズのベッドの真ん中に私、端にその人は座っている。

私は何も身につけていなかったので白いタオルケットにくるまり、その人はYシャツにだらしなくネクタイを緩めていた。


「たとえ間違いだったとしても」


「だって、それは」


そういって、その人は振り返って私の顔を満足げに眺めている。


「確認できなかった、だけ?」


「そうです」


「でも、気持ちよさそうだったけど」


その人に先手を打たれた。

返す言葉がみつからない。



「気に入ったよ、キミのこと」


シーツをぎゅっとつかんだ。

冷たさをはらんだその言葉に胸が苦しくなった。

たまらなくなって自分の右薬指に光る指輪に視線を注いだ。